「文は人なり」という言葉がある。だから僕は、マジックで予言などの簡単なメッセージを書くときにアルファベットを好んで使う。日本語の手書きだと、マジックの出来不出来よりも「へぇ!マジシャンってあんな字なんだ…」なんていう別の納得をしてもらっても困るからだ。
もちろん、観客への気配りとしては日本語で書かれたメッセージのほうが親切だと思う。だから、そんなときはプリントアウトした文字を使うことが多い。プリンターが普及してから、いろいろなことが便利になったと思う。
「あなたはハートの3を選ぶ」なんて予言のメッセージも、字がヘタで観客が理解できなかった、なんて笑い話にもならない。
これはあくまで、ショウでのこと、つまりパブリックでの話。
プライベートでは、たとえば、編集部に送った原稿に「面白いです!」なんて手書きの踊った文字をそえて戻してもらうと、心から嬉しくなる。手紙やはがきでも手書きは、いろいろなことを伝えてくれるような気がしている。
たとえるなら普段着とよそ行き着のような関係かもしれない。
これは、英語で出版されるのマジックの本のイラストのための写真。アルファベットのブロック体は幾何学的な形をしているからか、筆記体と違ってフォーマルにみえるような気がしている。