プロフィール

前田 知洋
(まえだ ともひろ)
東京 生まれ
観客のすぐ側で見せるクロースアップマジックというスタイルのマジシャン。チャールズ皇太子もメンバーの英国マジックサークル、ゴールドスターメンバー。ハリウッドのマジック・キャッスルなど、海外での出演も多い。出演したテレビ番組は100を超える。インテリアと建築の本「モダンリビング」(アシェット婦人画報社)で自宅のリノベーションなどにまつわるエッセイを連載中。

さらに詳しく知るには
前田知洋公式サイト

「人を動かす秘密のことば」出版しました。

「知的な距離感」も好評出版中。


DVD「奇跡の指先 前田知洋 プライベートレッスン

応援したり、されたりのリンク



Pink Ribbon 2007

リンク用バナー




客ぶり
以前のエントリーに、茶道の慣用句「結構なオテマエで」って書いたけど、実はこの言葉、場合によっては続きもあるらしい。

「いえいえ、貴兄も結構な客ぶりで」っていう返礼の慣用句。

「客ぶり」について、茶人のウイットにとんだエスプリぶりがわかる、こういう逸話も。

ある茶会に、串に刺さった団子が、茶菓子にだされた。まだ、茶道が始まって間もない時代だったので、客人は団子を食べ終わった後の串を、どのような向きで皿に戻したら良いのか、その作法をとても悩んだ。

客人は悩んだあげく、懐紙で串を包んで、自宅で捨てることにした。

茶会が終わった後、客人が主人に「結構なオテマエでございました」と礼を申すと、主人は「いえいえ、貴兄も『結構な客ぶり(客人として立派だったということ)』。茶菓子の団子を『串』まで、召し上がっていただいて…」と返答した。

もちろん、これは、無作法ものに対する主人の嫌みかもしれないし、食べにくい串付きの団子を出した、主人の反省の言葉かもしれない。でも、スゴいのはこの後の客人の切り返し。

客人は「いえ、先ほどの団子の串は、長さといい、太さといい、大変素晴らしい出来映えなので、失礼ながら、次の茶会の参考にさせていただきたく、頂戴いたしました」と答えた。

主人は「ますますもって、見事な客ぶり!」と客人を賞賛した。

主人にも、客人にも、恥をかかせず。

でも、客人に恵まれることの幸せは、茶人だけでなくマジシャンも同じ。

今日のエントリーは、僕が出会った、たくさんの素晴らしい「客ぶり」の人々に、感謝を込めて。
客ぶり_d0036427_1344322.jpg
(㈳日本奇術協会会報誌に1997年に執筆したコラムより一部抜粋。ブログを始めたときから、この話は書きたかったので、エントリーとして再掲。)
by tomohiro_maeda | 2006-01-15 01:40
<< 悪夢を見るなら ストラード・マエストラ >>
トップ | ログイン

F.A.Q.
by tomohiro_maeda
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
カテゴリ
以前の記事
最新のトラックバック
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧