秋は落ち葉や紅葉の季節というイメージがあるけれど、長雨が終わり、秋晴れの日が続くと、草木は第二の新芽の時期になる。
夏の間に役に立った葉は薄くブラウンになり、枝の先には淡くグリーンのデリケートな新芽がたくさん。
古い表現に「かそけき」という表現がある。出典は万葉集(19-4192)。原文の漢字は「可蘇氣伎」、「幽き」と書かれることもあったらしい。かすかである、淡いという意味(大辞林 第二版)。
儚く脆いものにも価値や意味がある、という考え方。役目を終えつつ、落ちるのを待つ葉。その一方で、これから成長する、ほとんど白に近い、淡いグリーンの新芽。
晴れた日の朝に窓を開けると、かすかにキンモクセイの香りがする。土入れの横で寝ていた子猫が僕と目が合って、ほとんど聞こえない声で「ニャア」と鳴いた。風に吹かれた落ち葉のカサカサという音。
かそけきモノたちの季節。