前にエントリーした仕事部屋を改装したせいで、クローゼットに使っていた部屋が空いた。窓から朝日の差し込む部屋をクローゼットに使うのは勿体ないと、ずいぶん前から思っていた。プライベートなリビングルームにしようと思い立って、壁を白く塗った。
今日は仕事が午後に終わった。新しい白い壁に合わせて、前から欲しかった白い陶器を買うことにした。
表参道の裏道を入り、店のドアを開けて「コンニチハ」と挨拶をする。そこはレストランやショップのディスプレイなどを取り扱う店だから、売っているのを見たことのないものがほとんど。たとえば、遊園地のメリーゴーランドの馬とかね。だから、店の人にモノの素性を聞いたり、いろんな話をする。件の白い陶器があっという間に売れてしまうことや、新しく港に到着するコンテナのこと、その発送地のベルリンのこと、アメリカの西海岸のこと…。
そういえば、以前に一緒に買い物に行った友人に「店の人とよく世間話するね。そんなに通ってんの? それとも知り合い?」って聞かれたことがあった。実際はどちらでもない。
たぶん、僕が店の人に「コンニチハ」と話しかけるせいかもしれない。アメリカにいたころは、店に入るとほとんどの人が ”Hi, How are you…”と話しかけるし、フランスでは最近、外国人旅行者には”Bonjour!How are you”という英仏語の混じった挨拶で声をかける(これは、「フランス語でも英語でもオーケーだよ」っていう意味もかねている)。
日本では「コンニチハ」という言葉、買い物の時間が少しだけ幸せになる魔法の言葉だと、僕は思っている。
フランスのロワールと呼ばれるエリアで造られるこの陶器はフランス特有の黒い粘土に白い釉薬がかけられて窯に入れられる。焼き上がりは持つと驚くほど軽い。ボウルに盛られているレモンとイチジクと洋梨は同じ陶製。上に飾る本物のフルーツが家に無いとき用に。