僕はショウで大切な要素はいろいろあると思っている。空間もその一つで、場所のアトモスフィアというか、そこでどんな人たちが、どんなふうに過ごしたかが場所にしみこみ、空気感に影響しているような気がしている。
なにも「高級で最先端な場所がいい」っていう短絡的な話じゃなく、古かったとしても人々に慈しまれた、ピッタリの大きさの場所でマジックをすると清々しい気分になる。
とある武道家の人たちが集まる会に招いていただいた。日頃、厳しい鍛錬をしている先生たちがマジックを観て喜んでくれる。僕は、真の武道家は本当の紳士であることを再確認した。スーツの着こなしも格好がいい。「喜んでくれる紳士」は演技者にとっては、じつに励みになる。
あとは、演技者の質が良ければ最高なのだけれど、こればかりは自分自身では善し悪しがわからない。だから、僕は観客の拍手を素直に信じることにしている。