『20世紀の目利き』といわれた白州正子さんの著書の中に、こんな文がある。
”世阿弥の『至花道』書に、「闌位事」という一段がある。「たけたる位」と訓み、みだり、たけなわ、やりかけ、まばら、などの意味があり、いずれも不完全なことを表している。(中略)日本の文化が究極のところで求めていたのは、世阿弥のいう「たけたる心位」に達することではなかったか。”
一つの曇りもない完全な物は、魅力的ではないっていうことかな。
僕は白州さんのこの文が大好きで、自分の演技が不出来なときに自分に対するイイワケに使う。
日本人の美しさの愛で方の特徴は『救い』だと思う。現在では主流になった「彼処が良くない、此処が良くない」といった、「減点法」ではなく。
だから、誰かに「素敵ですね」っていわれると、僕は「目利きの人は、そう言うんですよね…」って答える。エスプリやジョークの意味が通じる人は「うふふっ」って笑ってくれる。
褒められるのは嬉しいことだけど、それよりもっと嬉しいのは、不完全さの中に価値観の共通点が見つかること。このブログみたいにね。
参考文献(世界文化社「器つれづれ/白州正子」)
参考リンク
白州正子
世阿弥