友人の写真家とビールを飲みながら、
「なんか、日本の建築をゆっくり見てまわる旅行というのもいいよね。もしそれが、有名でも、無名なお寺だったとしてもね」
と話したことがあった。
それはまだ実現していないけれど、旅先で面白い建築があると、つい写真に撮ってしまう。たぶん、ブログをやっているせいかもしれない。
ところが、最近、僕がカメラのレンズを向けている先と、ほとんどの観光客のそれとは、微妙なずれがあることに気がついた。
写真は、熊本城の「武者(むしゃ)がえし」とよばれる石垣。もちろん、これは歴史的な名建築の一つ。
自分勝手に想像すれば、「忍(しのび)がえし」でなくて、「武者がえし」なのは、石垣が微妙な放物線を描いているからだろう。忍者には登れてしまうかもしれないけれど、武士には無理。
実物を見て、何となく、そんなふうに思った。
ホテルに戻って、写真をチェックしていると熊本城天守閣の写真が一枚もないことに気がついた。
人より感覚がずれている人を例えて「ピントがはずれている」という慣用句があるけれど、僕の場合は「構図がはずれている」のだろう。