「レオナール・フジタ展」に行く。僕はフジタが猫を持ち上げたポートレートが大好き。そのポートレートの絵はがきをミュージアム・ショップで買うためだけであっても、展覧会に行ったと思う。
しかし、館内に一歩足を踏み入れると、展示物の豊富さに圧倒された。新しく発見された3メートル×6メートルの絵画「闘争」を始め、家族や友人に贈ったとされる彩色された木箱、教会の模型など、まさにそこはフジタワールドだ。ミュージアム・ショップだけで帰ろうとして、ごめん。
再現されたアトリエでは、フジタがぶらりと現れそうな残像すら感じる。「虎は死んで皮を残す」というフレーズがあるけれど、フジタが残したものは決して名前だけではない気がする。
いつか機会があったら、彼に対する尊敬をこめて、僕も片手に猫を抱えたフジタのポートレートのような構図で写真をとってみたいと思ってはいるけれど、こればかりは、写真家や猫の都合もあるからなぁ……。